「花束を抱えて」
 
みんな
それぞれの
花束を抱えて
八方へ
散っていく
 
自分は
立ち止まったまま
動けない
 
あんなに笑って
あんなに怒って
悪態をつきながら
手をつないで
平均台を渡り切り
秘密を隠して
向こうへ行くことだけ
望んでいた
 
いつかいつかと
待っていた今
目の前に現れたのは
何もない平原
 
それでもみんな
微笑みながら
思う方へ
進んでいく
やっと辿り着いたここから
まだ見も知りもしない
これからへ
 
振り返ることもなく
 
取り残された
自分は
立ち止まったまま
動けない
 
最後の背中が
小さくなって
見えなくなって
崩れ落ちた



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