「元々」
 
背中を押す冷たい風は
躊躇する心をさらに凍らせる
踏み出す一歩などどこにもない
 
記憶を辿っても何もない
 
目を瞑れば巡る感情はあるものの
手を伸ばすこともできず
声を出すことさえ難しい
 
遠く先を見つめても何もない
 
振り返っても何もない
元々何もなかった



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