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「ここに戻る」
 
どれだけ迷っても
どれだけ見失っても
どれほど流れても
どれほと流されても
この一本の道からは逃れられない
 
確かなものを手にしたくて
確かなものを手にしたと思って
夢から覚めては中身が空だと知る
 
泣き腫らした朝の空は
こんなにも明るく澄んでいて
振り返った昨日には
何も残っていないのだと思い知る
 
得て失ってその繰り返し
前だか後ろだか分からないまま
進んだ先に闇しかなくても
それでもここに留まれと言う声があるから
 
意味などわずかにも読み取れなくても
意義など少しも感じられなくても
勝手に色を変え染め上げて
何かを作り出すことを求められている
 
無意識に行うことに理由を聞かれても
答えられない自分がいるように
些細なしぐさにはっとさせられて
またこれも無意識に気づかされる
 
もしも意味があるのなら今すぐ示してほしい
もしも意義があるのなら今すぐ形にしてほしい
無理なんだいを押し付けて黙らせることをせず
むしろ黙ってその身で教えてほしい
 
迷い迷い迷った末
見失い流されて辿り着いたのが
今いるこの場所
見慣れたような初めてのような
何度でも何度でも戻れるこの場所
いつでもここに戻る



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