「ゆっくりしていたい」
 
コートを脱いで歩き出す
春の風は悲しみをも吹き運んで
もっと遠くまでと急かすけど
 
ゆっくりしていたい
この時に
 
胸に開いた穴は
いつか埋まるか閉じるかして
その存在さえ忘れるだろうから
 
何だろう
少しだけ浮かんでいるような
軽くなったような
不思議な気持ちの中にいる
 
ないものねだりをやめた時から
ふわふわと飛んでいる気がする



戻る