「梔子の馨る夜」
 
光の少ない夜道を歩くと梔子が強く馨る季節
やわらかそうな白い花よりはっきりした甘い香りに先に気がつく
 
忘れてはいないけれど
忘れるはずはないけれど
何も言わずに通り過ぎ
何も言わずに遠ざかる
 
わたしはあなたを思い出す
思い返して途方に暮れる
 
この遠さを噛みしめて
この想いを抱きしめて



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