「七色の夢」
 
行く宛てのない人は
だからこそ放浪す
行く先を知る人は
ただただそこへ向う
 
あらゆる意味を理解する人よ
どうかすべてを洗い流して
真っさらに還せ
 
失ったものも
これから得るものも
本当は今目の前にあり
求めるものも
かつて欲したものも
本当はどこにもない
 
手を加え
足を付け
顔を描き
目を塞ぐ
その形は何に近しい
 
鏡に映る自分が
他人の笑みを真似る
誰かの後ろ姿が
紛れもない自分と重なる
輪郭を捉えては
中核から遠ざかる
 
七色の夢を見た後
胸無しさは如何程
玉虫の心の有り様
浮遊するも力尽候



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