「さらわれた君」
 
見つめていることを選んだ
雲の向こうの太陽
いえ
太陽の前の雲
明るさを変えていく空
いつ沈んでもよいように心の準備
覚悟とは違う
受け入れられないこともある
 
君が居なくなってから折り返し地点を過ぎる
もうすぐ
手のぬくみは消えないけれど
心は巡って色を移し続ける
換え難い存在
なお濃くする気配
気ままな風も今は止んで
 
西の空の星ひとつ指さして笑う
その唇に望んだ願いはもう聞けない
 
遠くにさらってと言ったのに
さらわれたのは君



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