「霧雨」
 
外に出ると霧雨が降っていた
傘を差すほどではないと思っても
実は霧雨がいちばん濡れるのだけれど
少し熱を持った肌にはむしろ快く
気にせず停留所まで歩いていった
 
黒い影の手前では浮遊して
白い壁の前に来ると見えない
微細な粒は湿気になって
まとわりつくように闇を深くする



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