「六月晴れた日」
 
六月晴れた日の夕暮れは涼しい風が少し強く吹く
窓際に重ねた書類の端がなびいて音を立てる
柔らかい陰が伸びていく午後5時を過ぎた頃
もうすぐ仕事を終えるあの人からメールが届く
目の前に集中できないわたしはその返事を考える
言うべきことと言いたいことの区別がつかないまま
文字を重ねて消して繰り返せば外は夕闇の中
さっきより強く吹く風に驚いて上着を羽織り
送信ボタンを押したらこの部屋を出る



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