「君がいなければ」
 
君がいなければこの部屋も広くて
気ままな一人暮らしに戻ったように
普段見ないテレビなんかつけて
時間が過ぎていくのを理解する
 
文句じゃないと言ったけれど
受け止める側にしてみれば
単なる不満にしか聞こえなかった
 
許せないのは憤慨した君じゃなくて
それを引き止められなかった僕だと
邪魔だとばかり思っていたソファが言う
明るい皮の色にひとつだけ煙草の焼け跡
隠すためのクッションも見当たらない



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