「遠い夜明け」
 
遠い夜明けを目指しているものの
動き回ることはなく
ただ時を待つばかり
今は凪を待つばかり
その胸にあるものを知らず
闇雲に手を伸ばしても
素っ気無く煙に巻く返答のみ
ますますわからなくなり
雨さえ降り出してしまう
口を割ることなく進んで
不安は嵩を増していくけれど
それでも本心は届かない所に在り
急ぎすぎたことを思い返すと
すべて見通したように一瞬笑い
たったひとつだけ道標を落とす
光はまだ先で見えないに等しいけれど
目指しているのは確かに夜明けだと
いつか来る夜明けだとその手が示す



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