「あの人の名前」
 
なつかしいのはあの人の名前
こんなところで見るとは思わなかった
別人かもしれない それでも
この胸に呼び起こされた記憶は
雨のように止まない
 
引き際がとても綺麗だった
捨て台詞を吐いて 消えた
あんなにうまく去っていくとは
あの時誰も思わなかった
 
きっと別人 それでも
たぶんまだどこかで生きている
理路整然と思っていることを口にして
時には大人の喧嘩もして
一歩も譲らなかった人
潔さと責任感の強さと意地っ張りなところ
あまりにも完璧だったからこそ
居なくなってしまったんだね



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