「この手をさらって」
 
心に鍵がかかる
言葉を跳ね返す
何も聞こえなくなる
 
言うべきことが見つからない
沈黙はどこまでも続く
目をつぶれば闇の中にいるみたい
 
いつまでこうしていればいいのかも
わからなくなりそうで
引き止めようと探る
意識はもうここになく
彷徨う視線に気づかれないよう
下を向くのがせいいっぱい
顔が見られない
本心が見えない
 
いつか言ったことを
覚えているのなら
今すぐこの手をさらって
消えてしまってもいい
風の扉を開けば
先に通じるから
何もなくても
それでいいから



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