「変わっていない」
 
何か変わったと思った昼下がり
電車の揺れで回想が始まる
 
既視感が現実になる
瞬間を逃すまいと必死になる
チャンスは一度きりと誰かが言った
それは半分本当だけれど
半分は嘘だということも
今ならきれいに証明できる
 
高鳴る鼓動は駅を越えるたびに
記憶を歪ませ希望の鐘を打ち鳴らそうとする
これまでの日々をすべて無に帰すような
抵抗できない大きな力に押されて進む
 
終着駅のホームに降り立てば
約束の地まで一目散になる
早まる胸は潰れそうで泣ける
何も変わってはいないと安心できた
何も変わってはいなかった



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