「冷たい雨」
 
雨が降り出す
このままなら雪になりそう
息を吹きかけても
凍るように冷たい指先
黙々と歩きつづける
向かう先は知らないけれど
背中を追うのにせいいっぱいで
寒さに負けて意識が遠のく
それでも遅れまいと速足になる
このまま行けばきっと追いつける
他は何も考えずに追いかける
そのうち傘は重くなり
視界も白くぼやけていく
それでも必死に追いかけて
いつか感覚を失った手を伸ばす



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