「感銘」
 
どんな言葉も今は耳をすり抜けていくから
ちゃんとつかまえられるように構え直さないといけない
君のことをどんなに想っても もう
二度と帰ってはこないことを刻んでみる
 
そうしたくないと思ってもそうしているのは
どこかでそうしたがっている自分がいるからだと
気づいてからも抵抗しつづけている
それもまたしたくないことだけど
素直にはいられない
 
夢の中で何度もすれ違う 顔を見たことのない人がいる
振り返るといつも背中しか見えない
呼んでみたくても名前も知らないから振り向かせる術がない
こんなとき追いかけてでもその腕をつかんでもいいものか
わからないまま また背中を目で追うけれど
 
本当は知っている
その背中が誰のものなのか
忘れたくて忘れた
そう思い込んでいた君の背中だと
だけどそれでもどんな言葉をかければいいのか
素直になんてなれない
 
傷つきたくなくて 後悔したくなくて
そんな小さな理由のために
今を逃すほうがよっぽど傷ついて後悔するのに
それでも それでも
 
どんな言葉も今は耳をすり抜けていく
待っている言葉が聞こえない限り聞く耳はない
君のことをどんなに想いつづけても もう
二度と帰ってこないといくら刻んでも
頭と心は分裂してそれぞれの道を行くから
千切れた私はまた ひとりになる



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