「空洞」
 
何かを見失っている
見失っていることさえ見失って
何も見えなくなる
 
気がついたときには遅い
 
忘れないための記号も
書いた紙を失くして
思い出したい記憶はここにない
 
見失いすぎて
何もないのと同じになる
あれほどつめこんでいたものも
いつの間にか消えて
がらんとした空洞が残った
ただそれだけの胸の中



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