「まっすぐ」
 
まっすぐであることが
美しく思えた
まっすぐであることが
正しく思えた
だからこそ
他のどんな道も選ばず
まっすぐ進んできた
 
それだけはないことを
どこかで感じていながら
見ないようにしていた
 
頼りになるものが
ひとつでもあるのなら
頼りにするものが
ひとつでもあるのなら
迷わずに
まっすぐに
行けるだろうと思った
 
今は何も見えず
道があるのかさえ
わからない
 
それでもまっすぐに
突き進んでいくのは
難しくて
危険なこと
 
地面に目を凝らし
その手で触って
確かめるのは
賢明だけど
格好はよくない
 
どんな道も歩けば
それが道だと
言い切れる自信もなく
 
ぼんやりと立ちすくむ今
依然視界は晴れない
まっすぐ来たはずの道も
振り返ればうねって見える
 
まっすぐという基準は
どこへ行った
もうどこにもいない



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