「存在」
 
最後に後ろ姿を見たときから
この恋は終わると思っていました
予感なんてどこにでも転がっている
最初から続かないと思っていました
今言えば単なる負け惜しみですが
あなたのことは最初から
好きでも何でもありませんでした
 
ただあなたという存在が
あの場所にあったということ
それだけが重要で確実であれば
他はどうでもよかったのでした
象徴としてのみ存在してくれれば
それはそれでよかったのでした
 
この言葉さえ届かないのなら
あなたは一生それを知らず
背負いつづけていくことになるでしょう
もしこの言葉が届いたとしても
あなたは聞き捨ててしまう
無かったことにしてしまうのでしょう
わたしにとってもあなたにとっても
お互いはそれだけの存在
ただそれだけの存在だったのでしょう



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