「まぼろし」
 
今は心此処に在らずで
失くしたものを探しているようで
だけどそれは最初からないもので
あると信じていたかったもので
 
説明口調になればなるほど
嘘のような気がしてくるから
これ以上はもう何も言わないけれど
 
確かに手にしていたはずだと
思うことさえ幻なのか
こんなに切実な思いがあっても
証拠ひとつ何も残らなかった



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