「求めること失うこと」
 
なぜ動けない
 
ただ求めるだけでよかった
実際に得られるもののことなど考えていなかった
我儘を貫いて欲しいものを夢見ていた
 
それだけでよかった
 
いつの間にわたしは
持っているものを必死に守るだけになった
 
現状維持などわたしには似合わない
 
今ある関係を壊してまで得ようと思わない
他人の目にはそれがやさしさと映るけれど
そうじゃない
 
欲しがるより先に
誰かを傷つけるかもしれないと思うから
 
それもすべて自分のため
いつの間に意味を変えた
 
求めるだけでよかった頃に戻れないのなら
失うことも怖れず いや
失うことを考えないようにして
 
それだけのために手を伸ばせばいい



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