「さみしがりやのいえで」
 
わたしはさみしがりやで
どうしようもないさみしがりやで
そのてにはのるまいとおもっていたのに
かんたんにさそいにひっかかってしまった
 
いまになればわかることも
そのときはわからずに
 
いやそのときはしんけんだったからこそ
しらぬかおをしてやりすごしていた
いつのまにかぬけだせなくなることも
ほんとうはしっていたはずなのに
ぬけださなかったのはわたしのいし
 
このさみしがりやがおもうのは
だれでもいいのではないかということ
そんなはずはないといいきれるわけもなく
ただぼうっとながめているだけならいいけれど
そのうちまたそのてにのるのではないかと
ふあんでたまらない
 
そのてにはのらない
たとえさみしくとも
なんていいきれるのか
じぶんでもじしんがない
 
わたしはどこへむかう
わたしはどこへむかえばいい
しっていたはずなのにしらないふりをして
そのうちほんとうにわからなくなって
 
さみしいふりをつづけていればそのうち
ほんとうのさみしさなんてわすれてしまう
もっともっとふかいところへ
はいりこんででてこられなくなる
それだってわかっているのに
 
ひとはそれをひがいもうそうといい
ひとはそれをしんしんしょうといい
ひとはそれをたじゅんじんかくといい
ひとはそれをしんけいしょうといい
ひとはそれをきがふれたといい
ひとはそれをまともではないという
 
ひとのいうことはひとのいうことで
たよりにならないとするなら
わたしはどんなことばをあてはめて
あんしんすればいいのだろう
 
ますますわからない
ますますさみしくなって
さまようことをやめられずに
このよるにいえでする



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