「射す光」
 
射す光が染め分けていく床の上
透かされた気持ちを宙に浮かせて
目に映るものはすり抜けていくようで
蔭がものを言い始める時間に
 
思い出そうとするたびに
こめかみがきゅっと痛む
 
くゆらせる煙の向こうには
やさしげな瞳となつかしい音
それも夢のように記憶に沈んで
 
忘れたいことばかりが散らばる
忘れられないことばかりが占拠する
この部屋の中にひとりだけ



戻る