「さよならの駅」
 
さよならの声は聞こえない
人ごみに消えていく背中が
振り返らないのを見届ける
 
冬のせいか
寒さのせいか
思い出すのは
小さく振った右手
 
あの場所は今でも
わたしにとっては胸が痛く
ひとり駆け回っても
戻らない時があると
知らせる波がいつまでも押し寄せる
 
さよならの声は聞こえない
さよならなんて言わなかった



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