「不思議な逢瀬」
 
不思議な時間が流れていた
漂うように流れていた
知っているのに知らなくて
知らないのに知っている気持ち
奇妙な隔たりはあるものの
深い溝ではないらしい
 
不思議な距離があった
近くて遠く遠くて近い
手が届きそうなほど
触れることはできない隙間
少し後ろを歩いてみては
測ってみたくなってしまう
 
知っていることと
知らないこと
近いことと
遠いこと
それぞれが
意味を失う昼下がり
差はないことに気がついた
 
在りのままとは何だろう
今此処にいることが
何かの役に立つだろうか
 
理解の埒を開けていく
不思議な不思議な短い逢瀬
繰り返したくなる
叶わぬ夢を
叶わぬ恋を



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