「無題」
 
時が経つのをただ
じっと見つめているだけでも
また時が経って
 
ゆるぎない確信を
つかんだと思った瞬間に
また事情は変わっていって
 
何が正しくて何が間違いか
わかった
そんなものどこにもないと
 
自分も他人も
境界線は曖昧で
共感する気持ちも
擦りかえられる有様で
 
それならなぜ
前に進もうとする
後ろが闇なら
光のほうへ走れ
 
まだ決まったわけじゃない
可能性が低くても
逆転を夢見て
 
思いの丈は計り知れず
ひそかに燃える小さな炎を抱いて
 
言葉はなくてもわかるはず
ごまかしでなく本心で
捧げるこの身を
 
欠片でもいい
わかってくれるなら
それ以上何も望まない
 
欠片でもいい
わかってくれるなら
それ以上何を望もうか
それだけでいいから



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