「電話の間」
 
電話の間
暇な右手が
散らかっている机の上から
単なるペンを探し出し
その辺にある紙を呼んで
ひとりごとを書き連ね始めた
 
退屈しているわけではない
言いたいことを言えない私に
自問自答したがっているだけ
 
ほらねまた
のどまでわき上がった言葉が
闇に消えていく代わりに
文字となって紙に残る
 
それはおそらく
一生伝わらない言葉
それはおそらく
一生伝えられない気持ち
 
新しい話題を探すなら
それを読み上げさえすればいいのに
新しい話題を探すくらいなら
それを読み上げればいい
 
わかっているけれどできないことってある
たとえそれが誤解を招くとしても



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