「傷と言葉」
 
私には何もかけてあげられる言葉などなく
その胸の深い傷を見るたびに
こちらまで傷ついてしまうかのようで
再び目を閉じてしまう
その傷をさらけ出すように回想を続け
自分で自分を癒しているみたい
必要ないのかな私なんて
そう思いながら傷口を見ている
 
言葉
現実は言葉によってのみ伝達される
以前その傷をつけた言葉が
今度は顔を変えて癒しにやってくる
おかしな話だと思わない
平然を装っているのか自然なのか
区別がつかない
 
私にはどうしてあげられるわけもなく
その傷を見るたびに
目をそむけてしまう



戻る